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2023年度第1回目アグロフードセミナーを開催「未利用資源がつなぐ地域のネットワーク」

本学では、食料産業の発展方向を探り、情報を発信するために企業や研究機関等と連携し、アグロフードセミナーを実施しています。

今年度は、「食がつなげるサステナブルな地域づくり」を年間テーマとし、7月25日(火)今年度第1回の「アグロフードセミナー」を実施しました。

第1回目は「未利用資源がつなぐ地域のネットワーク」と題し、阿賀野市にある2つの事業者様にご講演いただきました。

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(左から)
本学食料産業学部食料産業学科 アグリコース 浅野亮樹 准教授
一正蒲鉾株式会社バイオ事業部バイオ研究室 中山隼 様
八米 代表 髙橋敦志 様
本学食料産業学部長 社会連携推進室長 武本俊彦 教授

 

【第1部】講演 一正蒲鉾株式会社バイオ事業部バイオ研究室 中山隼様

「きのこ廃菌床の堆肥化による持続可能な社会への貢献」

第1部では、一正蒲鉾株式会社バイオ事業部バイオ研究室中山隼様より、きのこを栽培後の菌床を堆肥化する取組みについてお話しいただきました。

一正蒲鉾株式会社では、「いちまさのまいたけ」というまいたけ栽培もおこなっており、培地は化学肥料や農薬を使用していません。複数回の利用はしないため、栄養の残った菌床が、これまでは廃棄され、焼却処分によりCO2が排出されていました。

この廃菌床の再利用方法として、現在は大半を家畜の敷料としていますが、新たな選択肢として、堆肥化する取組みを行っています。

焼却処分を減らすことで、CO2の排出量を削減でき、また地域の農業者に利用してもらう事で、地域循環による持続的な農業にもつながります。

現在は、圃場での廃菌床堆肥施用に着手され、品質分析や収穫量の変化についてデータ収集されている他、本学浅野准教授も堆肥内微生物菌叢(きんそう)の研究に協力しています。

今後は、一正蒲鉾様の練り製品工場で発生する汚泥と廃菌床を原料に汚泥堆肥の製造にも取り組まれるそうです。

 

【第2部】講演 八米 代表・養蜂家 髙橋 敦志 様

「交流人口を拡大させる八米お花畑プロジェクト」

第2部では、米農家であり、養蜂家でもある、八米 代表 髙橋敦志様に、休耕地でのお花畑プロジェクトについてお話しいただきました。

冒頭アイスブレイクとして問われたのは、「ミツバチがいなくなると人間は何年で滅ぶと言われているでしょうか?」

正解は、下記スライドの通り、4年だそうです。

このミツバチにとって大敵なのが、ネオニコチノイド系農薬です。

髙橋様は、農薬使用を反対する立場ではなく、理解を示したうえで、ご自身が米農家であるとともに、養蜂家でもあることから、ミツバチを守りつつ、米作りを続けていけるよう、減農薬・有機農法による環境循環型農業に取組まれています。

またお花畑プロジェクトについては、当初ミツバチの夏場の餌資源として2017年に開始され、翌年には「耕作放棄地のお花畑化プロジェクト推進協議会」と連携し、春は菜の花、夏はひまわりのお花畑として休耕地を活用、お花畑を訪れた方々がSNSで発信していくことで、来訪者も増え、2021年にはフォトコンテストを開始。応募者も年々増加するなど観光資源としても注目されています。

 

【第3部】パネルディスカッション

「廃菌床を資源に ~資源の地域循環構築に向けた試み~」

ファシリテーター/

本学 食料産業学部長・社会連携推進室長 武本俊彦 教授

登壇者/

一正蒲鉾株式会社バイオ事業部バイオ研究室 中山隼様

八米 代表・養蜂家 髙橋 敦志 様

本学 食料産業学部食料産業学科アグリコース 浅野亮樹 准教授

 

最後に武本教授がファシリテーターを務め、参加者からいただいた質問に回答しながら、パネルディスカッションが行われました。

本学浅野准教授は、一正蒲鉾様の廃菌床堆肥化における微生物のはたらきについて研究協力を行っています。

本学では、社会連携推進課及び新潟食料健康研究機構を窓口に、様々なご相談を承っております。お気軽にお問い合わせください。

 

今回のセミナーは、オンラインでの開催でしたが、活発な質疑応答が交わされました。ご講演いただいた皆さま、ご参加いただいた皆さま、誠にありがとうございました。

次回のアグロフードセミナーもご期待ください。

 

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