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「飲む点滴」だけじゃない!酒粕と麹のポテンシャル大解剖

新潟食料農業大学では、食と農業に関わる最前線の研究や実践を紹介する「アグロフードセミナー」を毎年開催しています。2025年度の第3回目の開催となった今回は、「酒、麹、酒粕の栄養価と機能性」 をテーマに、酒造・発酵・食文化の専門家3名をお迎えし、最新の研究知見を共有いただきました。
会場のほかオンライン配信も含め、合計137名が参加。会場では乳酸菌発酵酒粕食品「さかすけ」や甘酒も提供され、発酵食品の魅力を味わいながら学ぶ時間となりました。



★ 酒粕の魅力再発見:栄養価と機能性の最新研究
新潟食料農業大学 フードコース教授・金桶光起先生からは、酒粕に乳酸菌を加えてさらに発酵させた 「乳酸菌発酵酒粕」 の研究成果が紹介されました。
酒粕に本来含まれるアミノ酸・ペプチド・ビタミン類/再発酵によって生まれる新たな機能性/食品素材としての利用に向けた可能性

乳酸菌による再発酵は消化性を高め、酒粕特有の風味を穏やかにする効果があり、食品への応用が進む注目素材となっています。



★八海醸造の視点:甘酒を含む「麹」事業の強化と世界展開
八海醸造株式会社 取締役製造本部長の倉橋敦氏は、日本酒づくりの現場から見える麹と発酵の魅力について講演しました。

2025年3月より米国・メジャーリーグ(MLB、大リーグ)ロサンゼルス・ドジャースとのパートナーシップ契約を締結し、「八海山」がドジャース公式日本酒に認定されている八海醸造は、日本酒だけでなく「麹」だけでつくった甘酒を海外展開の柱のひとつとして位置づけ、世界に向けた発信を強化しています。

特に強調されたのは、麹甘酒の機能性。麹の酵素が生み出す自然な甘み、アミノ酸・ブドウ糖などの栄養価、補食としての役割を示し、甘酒が「飲む点滴」と呼ばれる理由を科学的に説明しました。
麹由来の酵素の働き/甘酒が持つエネルギー供給機能/海外市場における発酵飲料としての可能性

日本だけでなく海外にも発酵文化を広げようとする八海醸造の取り組みは、参加者から大きな関心を集めました。



★世界の発酵文化:酒を主食とする民族の事例
新潟大学創生学部 助教・砂野唯先生からは、アジア・アフリカにおける自家醸造酒の文化的背景について紹介がありました。
特に印象的だったのは、酒を主食として摂取するエチオピアの民族の紹介です。
穀物を発酵させた酒が主要な栄養源となっている地域/発酵食品が果たしてきた文化的・歴史的役割/食と生活が密接に結びついた独自の文化

酒や発酵文化の研究が、栄養学だけでなく民族文化の理解にもつながることが示されました。




今回のセミナーでは、日本の伝統的なスーパーフードである酒粕が、栄養価・機能性・美味しさを兼ね備えた高付加価値素材である ことが再確認されました。



新潟食料農業大学では、次年度もアグロフードセミナーを開催する予定です。
地域企業、研究者、学生、そして市民が交わる学びの場を継続することで、「地域と新潟をつなぎ、新潟から世界へ発酵文化を発信していく」
そんな流れをさらに強めていきたいと考えています。

これからも、新潟から生まれる発酵・食の研究の深化と広がりにご期待ください。





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