授業紹介
【授業紹介】「コメ」を多角的に考える!<食料産業基礎実習>
1年次前期必修科目である『食料産業基礎実習』では、実習を通して、食・農・ビジネスの視点で食料産業(フードチェーン)を体験的に学びます。
5/23(金)の授業では、「フードシステムの理解を深める3コース合同プログラム」と題して、「コメ」をテーマにアグリ・フード・ビジネスの3コースの教員による授業を実施しました。
備蓄米や価格高止まりなど「コメ」に関するニュースが日々報道されている中で実施された授業。
どのような授業が行われたのでしょうか?
■アグリコース
【令和の米騒動を引き起こした高温障害とは?】
令和5年8月の夏の高温と少雨により収量が減少し、白未熟粒が多発し、1等米の比率低下が問題となりました。
授業では白未熟粒の発生原因について解説し、高温障害への対策を紹介しました。
<高温障害への対策>
登熟期に高温を受けることで籾のデンプン蓄積の異常が発生し、白未熟粒が多くなるため、品種や作型を変えることで高温障害のリスクを低減できます。
① 登熟期をずらした品種の開発
早生品種の「こしいぶき」、晩成品種の「新之助」について紹介。
② 高温耐性品種の開発
新潟大学によって2020年に開発・登録された「新大コシヒカリ」や、農研機構によって2018年に開発・登録された「にじのきらめき」について解説。「にじのきらめき」は、穂が葉の中に隠れているため、穂の温度を下げていると推察されるそうです。
講義のあとは「こしいぶき」と「新之助」の2種類を食べ比べ、食味試験を実施!
こしいぶきを基準として、「香り」「味」「硬さ」「粘り」の4項目で比較。
1年生の学生たちは、香りをかいだり、口に含んで噛んだりして粘りや味を真剣に比較していました。

■フードコース
【身近な主食「ご飯」を科学的に“味わって”みよう】
フードコースではお米の食味に影響するデンプンの種類と構造について、まずは「パックご飯(うるち米)」と「赤飯(もち米)」を食べ比べ。

赤飯の方が「もちもちしている」「粘り気がある」という感想が出ました。この食感に影響するのがそれぞれの米に含まれている2種類のデンプン、“アミロース”と“アミロペクチン”の割合です。
ヨウ素デンプン反応による色の違いはご覧の通り。(どちらがもち米か判りますか?)

デンプンの構造の違いと発色の関係を学びました。
■ビジネスコース
【農業ビジネス(コメ)を学ぶ―歴史と構造―】
ビジネスコースでは日本人の主食であるコメについて、栽培・消費の歴史や価格高騰の原因についてビジネスの視点から学びました。
皆さんは1年間に何㎏のお米を食べていますか?
成人1人あたりのコメの消費量の平均は明治時代では年間約120㎏に対し、現在では約50㎏。時代が経つにつれて大きく消費量が低下していることが分かりますね。
また、講義内では海外のカレー米や胚芽米を使った調理例が紹介され、日本人の食べ方の違いについても学びました。
身近で昨今話題にあがっている「コメ」について、食料産業のさまざまな分野から実践的に学びました。
米どころである新潟県の持続可能な農業の在り方についても考えるきっかけになったのではないかと思います。
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