
岩本 啓己
Hiroki Iwamoto
講師
学位 | 博士(農学) 信州大学 2021年取得 |
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専門分野 | 雑草学・リモートセンシング・ベイズモデリング |
研究テーマ | ・リモートセンシングデータに基づく水田雑草の空間動態のモデリング ・リモートセンシングによる海岸植生への外来雑草の拡大のモニタリング ・光条件や水ストレスに対する雑草の反応の評価 |
高校生へのメッセージ
みなさんは古代中国の兵法書『孫子』を知っていますか?その中に、戦いに臨むときの心構えとして「彼を知り己を知れば、百戦危うからず」という一節があります。仕事でも勉強でもスポーツでも、何か課題に取り組むときは、自分と相手の双方を理解することが大切です。
現代の人間社会は、植物との関係性抜きには成り立ちません。フードチェーンにおいても、農業はもちろんのこと、流通を支えるインフラ、さらにはそれらを取り巻く自然環境というように、あちこちで人間と植物が関わりあっています。私たちが研究対象とする雑草たちは、その中にうまく入り込んで、実にしたたかに生きています。彼らの生きざまをより深く知るために、例えばドローンを使って空から分布の変化をモニタリングしたり、光・水などの条件による生育の違いを見たりしています。
雑草学は「人間と植物の関係論」です。植物・環境とのより良い関わり方について、一緒に学んでみませんか?
企業へのメッセージ
農林水産省の「みどりの食料システム戦略」では、化学農薬使用量の低減や有機農業の推進が掲げられています。また、2022年の「植物防疫法」の改正では新たに雑草が有害植物として定義され、発生予察や緊急防除などの対象とすることが可能になりました。その一方、実際の雑草防除や植生管理は人手不足やコストの増大に直面しています。こうした状況を背景に、総合的な雑草防除技術の開発と、それを担う人材の育成が求められています。
リモートセンシングと画像解析技術の進歩により、高い精度での雑草の検出が可能になってきました。これは、ピンポイントでの除草にとって重要な技術です。また、空間分布情報をもとに雑草の生育や分布の変化をモデリングすることで、環境条件や防除作業の影響を定量化することもできます。これらの技術を駆使し、雑草の個体群動態に基づく総合的かつ合理的な防除方法を見出していく所存です。
雑草防除や植生管理をはじめとした農業・環境の課題に、一緒に取り組みたいと思います。ぜひ、皆様の課題をお聞かせください。