植村 邦彦
Kunihiko Uemura
教授
学位 | 博士(農学) 筑波大学 1999年取得 |
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専門分野 | 食品工学 |
研究テーマ |
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高校生へのメッセージ
皆さんは、食品を温めるときに電子レンジのお世話になっていると思います。では、なぜ電子レンジは食品を加熱できるのでしょうか。電子レンジは2.45GHzの周波数のマイクロ波で食品中の水を振動させて食品自身が発熱します。電気を利用した加熱のことを内部加熱と呼び、固体状の食品を短時間で加熱します。先生は、マイクロ波よりも低い周波数で工業的に有利な、例えば、27MHzや25KHzの短波や長波を用いた食品加工を行ってきました。これらの電気は、食品を加熱する効果以外に、電気の力で微生物を効率よく殺菌したり、酵素を短時間で失活させたりする効果に着目した研究を行っています。これらの効果を利用することで、食品中で熱に弱いビタミンCなどの栄養成分を壊すことなく、食品の安全性、保存性を高めることができました。食品加工により、安全で、おいしく、栄養があり、機能性も高い食品を長期間保存できるようにすることで、フードロス低減を目指しています。
企業へのメッセージ
農業・食品産業技術総合研究機構の食品研究部門で36年間、食品工学の研究に従事してきました。そこで、ミニマムヒーティングと呼ぶ一連の食品加工技術を開発しました。ミニマムヒーティングとは電気エネルギーを利用した加熱方法であり、従来の加熱に比べて殺菌や加工に必要な加熱時間を最小化するものです。例えば、①低粘度の果汁などの液体食品の殺菌に対応した交流高電界、②果実や野菜のピューレなどの高粘度の液体食品の殺菌に対応した高周波パルス連続加熱、③チルド用のパウチ食品の殺菌に対応した水中短波高い加熱、④レトルトパウチ食品の殺菌に対応した水中短波帯加圧加熱技術を開発してきました。いずれも、従来の加熱に比べて加熱時間を短縮したことから、食品中の熱に弱い栄養成分の損失を低減することが可能になりました。また、電気的加熱の特徴として、食品中の酵素を短時間で失活できるため酵素を失活すると食品の保存中の褐変や酸化の進行を抑え、品質を長期間保存することが可能になります。①の交流高電界技術は、レモン果汁の製造ラインで実用化されていますが、他の技術は、今後の実用化に向けて、企業様と共同研究を実施したいと考えております。また、電気を用いた加熱は、加工食品だけでなく、農畜水産物原料を収穫後、速やかに加工する1.5次産業に適用する研究を進めています。
学内委員会活動 |
学部FD・SD委員会(委員),大学院FD委員会(委員)
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