阿部 周司
Shuji Abe
講師
学位 | 博士(海洋科学)東京海洋大学 2011年取得 |
---|---|
専門分野 | 食品加工学、食品保蔵学、食品のテクスチャー |
研究テーマ |
|
高校生へのメッセージ
食品の美味しさは何によって決まるのか?おそらく多くの人は「味」と答えるかと思います。でも、本当にそうでしょうか?本当に美味しいステーキを想像してみてください。ジューシーな肉汁はもちろん、肉の香り、程よく焼けた色、そして柔らかい食感・・・これらすべてが組み合わさって美味しいステーキになります。つまり、美味しさには味以外の要素も重要だということになります。
私はこれまで食品の美味しさを構成する要素の一つである食感について研究を進めてきました。なぜ、食感に着目したかというと、食感は食品の美味しさを構成する要素の中でも大きなウェイトを占めるからです。特にかまぼこなどの水産練り製品、現在の社会には欠かすことのできない冷凍食品では、どのように良い食感を創り出し、維持していくかというのが重要な課題となっています。水産練り製品は900年ほど前から日本で作られてはいますが、いまだに食感に関する研究が続けられています。それだけ食感に関する研究は奥が深いということがわかります。また、冷凍食品では味や香りは調味料や香料で調整できても、温めなおして消費するときに、出来たての食感を表現することがかなり難しいといわれています。これらの課題を解決するには大きな壁がいくつもありますが、皆さんと一緒にこの壁を乗り越えて美味しい食品を作っていけたらと考えております。
企業へのメッセージ
実家が北海道の網走市で冷凍すり身を作っていたこともあり(これを読んだ方の中にはピンときた方がいるかもしれません)、学生時代から魚肉タンパク質に関する研究を行ってきました。特に冷凍すり身に関するゲル化に関する研究には力を入れております。すり身のゲル化についてはこれまでに多くの研究が行われ、大部分が明らかになったかと思われていますが、製造現場ではなかなかこれまでの研究で得られた知見と同じようにいかないことがしばしばあります。つまり、まだ十分に分かっていないことが多いと考えております。そのため、評価方法も含めて、すり身のゲル化に関する研究成果を現場に落とし込めるように、一つ一つ丁寧に進めていきたいと考えています。
また、すり身を含めて、食品の冷凍技術は現在の社会にとってなくてはならない技術となってきました。特に冷凍保存前後の食感変化をいかに抑えるかが、よりよい冷凍食品を製造するうえで重要と考えています。
上記の内容以外にも、他の食品の食感に関する研究を進めていく予定です。また、学生指導の面では、小手先の技術ではなく、食品製造に関して根底の部分を理解し、科学的な思考力をもって食品製造に携われる人材を育てていきたいと考えています。
- ホーム >
- 学部・学科 >
- 食料産業学科 教員紹介 >
- 阿部 周司